ここではビジネスメールで間違えやすい敬語表現をあつめました。今後メールを書くときの参考にするとともに、普段何気なくつかっているフレーズが正しいかどうかの確認にも使えます。
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身内敬語に注意
ついつい使いがちな身内敬語に注意!
「尊敬語」は相手側の動作を高める言葉、「謙譲語」は自分をへりくだる言葉です。
慣れないうちは相手の動作に謙譲語を使ったり、自分側に尊敬語を使ってしまうこともあるかもしれません。たとえば、取引先の方から「御社の部長がおっしゃっていましたね」と言われ、「はい、部長がおっしゃっていました」というのは間違えです。
本来は身内に対して謙譲語にすべきところを、つい相手につられて尊敬語を使ってしまうこと、これを身内尊敬語といいます。
間違えやすいからこそ、日頃から意識して注意したいものですね。
つまづきポイント
特に難関:社外の人に身内の目上の人のことを話す場合。
◯「はい。弊社の社長がそのように申しておりました。」
→✕「はい。弊社の社長がそのようにおっしゃっておりました。」
◯弊社社長の佐藤が申しておりました。
→✕:弊社の佐藤社長が、おっしゃっていました。
◯上司に確認いたしますので、お待ち下さい。
→✕上司に確認していただきますので、お待ちください。
◯先日うかがった件は、経理に伝えました。
✕先日言われた件は、経理にお伝えしました。
※「お伝えする」は、身内の経理への謙譲表現になるので✕。
二重敬語に注意
必要以上に丁寧にしない。二重敬語に注意しよう
ひとつの言葉に敬語の役割を果たす言葉が2つ以上あることを、二重敬語といいます。
これは敬語を意識するあまりに必要以上に敬語を重ねてしまう、という心理が働くため使ってしまいがちです。
相手を敬おうとする気持ちは素晴らしいですが、行き過ぎると間違いとなってしまいます。
いくつか例を上げますのでチェックしてみてください。
ここをチェック!二重敬語の例
◯ お客様がおっしゃっていましたが、
✕ お客様がおっしゃられていましたが
※「おっしゃられる」は二重敬語
※「言う」の尊敬語は「おっしゃる」
◯メールを送信なさっていましたが、
✕メールを送信なされていましたが、
※「なされる」は二重敬語
※「する」の尊敬語は「なさる」
◯ ご覧になられた資料は、
✕昨日ご覧になった資料は、
※「見る」の尊敬語は「ご覧になる」
※「ご覧になられる」は二重敬語
「他者謙譲語」に注意
謙譲語は、自分、身内に対して使用します。したがって、お客様、取引先などの相手(他者謙譲語)には使用しません。
これらも、よく見られるミスです。「知らず知らずのうちに使って恥ずかしい思いをした」ということのないように気をつけましょう。
ここをチェック!他者謙譲語の例
◯ 昨日、A社の森田様が参りまして
✕昨日、A社の森田様がお見えになりまして
※ 「参る」は謙譲語、取引先には使用しない
※ 取引先には尊敬語「お見えになる」を使う
✕明日、お越しになるのは、佐藤様でございます。
◯明日、お越しになるのは佐藤様でいらっしゃいます。
※社外の人に上司を紹介する際には「上司の加藤でございます」は正解で、
「上司の加藤でいらっしゃいます」は間違い。
✕ 伊藤さんはお茶でいらっしゃいますね。
◯伊藤さんはお茶でございますね。
※「いらっしゃる」は尊敬語、ものには使わない
「いただく」と「くださる」
「ご利用いただき」のように、相手の行動に「いただく」という謙譲語を使うのは間違いで、「ご利用くださり」(尊敬語)にすべきという意見もありますが、その行動が自分に利益のあるものであれば、自分の側の謙譲語として「いただく」を使っても間違いではありません。
◯書類をお送りいただき、ありがとうございます。
◯書類をお送りくださり、ありがとうございます。
◯当社製品をお使いいただき、ありがとうございます。
◯当社製品をお使いくださり、ありがとうございます。
✕:5分ほど歩いていただきますと、駅に着きます。
△:5分ほどお歩きになりますと、駅に着きます。
◯:5分ほど行きますと、駅に着きます。
※自分のためにしてもらうことではないので、文法的には尊敬語「お歩きになりますと」が正しい表現です。
※しかし、道案内であれば「行きますと」がフィットする。「行く」の主語は相手ではなく、「一般的にだれでも」という意味なので失礼にはあたりません。
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ビジネスメールで間違えやすい敬語表現の言い換え
普段の言葉 | 敬語の言い換え例 |
---|---|
あなたが申されたように | あなたがおっしゃっていたように |
アポはお持ちですか | お約束はいただいておりますか |
謝ります | 陳謝いたします |
うれしく存じます | 光栄に存じます |
お足元にお気をつけてください | お足元にお気をつけください |
お受け取りいたしました | 受け取りました 拝受しました |
お送りさせていただきます | お送りいたします |
お教えください | ご指導ください |
お身体ご自愛ください | ご自愛ください |
お客様をお連れしました | お客様をご案内しました |
お客様にご負担いただきます | お客様のご負担となります |
お座りください | お掛けください |
お世話さまです | お世話になっております |
お助けしていただきたい | お力添えをいただきたい ご協力ください |
お頼み申し上げます | お願いいたします お願いしてもよろしいでしょうか |
お食べください | 召し上がってください お召し上がりください |
おっしゃられる通り | おっしゃる通り |
お荷物の方をお持ちします | お荷物をお持ちします |
お久しぶりです しばらくぶりです |
ご無沙汰しております |
おわかりいただけたでしょうか | ご不明な点はございませんか |
会議室は左手奥のほうになります | 会議室は左手奥にございます |
回答させていただきます | ご回答いたします |
来てもらっていいですか | おいでいただけませんか ご足労願えますか |
気に入りましたか | お気に召しましたか |
ご一緒いたします | お供いたします |
ご確認してください | ご確認ください |
ご教授ください | ご教示ください |
ご苦労さまです(目上の人に対して) | お疲れ様です |
ご出席されますか | 出席されますか |
ご注意してください | ご注意ください |
ごめんなさい | 申し訳ありません 失礼いたしました |
ご覧になられる | ご覧になる |
ご利用できません | ご利用になれません |
~してほしいです | ~していただけますか |
社長は本日、御社に伺うとおっしゃっています | ◯◯(社長の名前)は本日、 御社に伺うと申しております |
紹介してもらった◯◯です | ご紹介にあずかりました◯◯と申します |
上司の◯◯にはお目にかかりましたか | 上司の〇〇にはお会いになりましたか |
資料を持ってきてください | 資料をお持ちください 資料をご持参ください |
すみません | 申し訳ございません 恐れ入ります |
大丈夫です(断る場合) | 結構です |
たいへんためになりました | たいへん勉強になりました |
チェックしました | 確認いたしました |
ではさようなら | これで失礼いたします |
~でよろしかったでしょうか | ~でよろしいでしょうか |
どうかいたしましたか | どうかなさいましたか |
どうしますか | いかがなさいますか |
どうすればいいかわかりません | 考えが及ばず申し訳ございません |
どこへ参られますか | どちらへいらっしゃいますか |
どちらにいたしますか | どちらになさいますか |
とんでもございません | とんでもないことです |
何かあれば携帯電話のほうに連絡ください | なにかありましたら携帯電話にご連絡ください |
名前を頂戴できますか | お名前を伺ってもよろしいですか |
なるほどですね | わかりました |
~になります | ~でございます |
拝見させていただきました | 拝見いたしました |
拝見されましたか | ご覧になりましたか |
反省させていただきます | 反省いたします |
微妙です | 判断が難しいところです |
本日は来られますか | 本日はお見えになりますか |
参りましょう | お供いたします |
◯◯円からお預かりします | ◯◯円をお預かりします |
◯◯様が参りました | ◯◯様がお見えになりました |
◯◯様でございますか | 〇〇様でいらっしゃいますか |
◯◯は本日お休みをいただいております | ◯◯は本日休んでおります |
◯◯部長が(社外の人に対して) | 〇〇が 部長の〇〇が |
申されました | おっしゃいました |
もちろんでございます | はい、私もそのように思います |
余計なことかもしれませんが | 差し出がましいようですが |
了解しました | 承知しました |
わざわざお越しいただきありがとうございます | お忙しいところお越しくださいまして ありがとうございます |
私ではわかりません | 私ではわかりかねます |
私的は問題ありません | 私の考えでは問題ありません |
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よくある敬語ミスの例
使うときの原則 | 使用例 | |
---|---|---|
「お」と「ご」の使い分け | 訓読みの和語→「お」をつける 音読みの漢語→「ご」をつける※注意 下記にはつけない。 ・公共の物や施設 ・外来語が日本語化した名刺 ・果物の名称 ・役職や職業 |
【例】 名前→お名前/手紙→お手紙 氏名→ご氏名/入学→ご入学✕公園→お公園 |
身内敬語 | 尊敬語とは相手側の動作を高めるもの。 そのため、自分や自分の身内に敬語は使いません。 |
○弊社社長がそのように申しておりました →✕ 弊社社長がそのようにおっしゃっておりました○ 弊社にお越しくださりありがとうございました →✕ 弊社にお越しいただきありがとうございました。 |
二重敬語 | ひとつの言葉に敬語の役割を果たす言葉を2つ以上つけない | ○ お客様がおっしゃっていました。 →✕ お客様がおっしゃられていました。○ 早めに召し上がってください。 →✕ お早めに召し上がられてください。 |
物敬語 | ものに対して敬語は使わない | ○ お茶でございます。 →✕ お茶でいらっしゃいます。 |
他社謙譲語 | 謙譲語は自分、身内に対してお客様、取引先などの相手に対しては使わない | ✕ 上司の○○でいらっしゃいます。
○ 上司の○○でございます。✕ お見えになるのは■■様でございます。 |
上から目線言葉 | 目上の人が目下の人に向かって用いる言葉は使わない | ○ お世話になっております。 →✕ ご苦労さまです。 ○ お疲れ様です。 →✕ お世話様です。 |