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【徹底解説】出産にあたり貰える手当は? 出産一時金、出産手当金の手続きは?

出産については、妊産婦を有害業務に就けることを禁じた法律、出産の前後には休ませる法律などなど、いろいろな支援があります。しかし、これらの法律を知らない人も少なくないようです。出産という一大イベントを有意義に過ごし、損をしないためにも夫婦あわせてご活用ください。ここでは出産の手続き・制度について詳しく解説しました。


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出産支援について

出産で気をつけることって?

Q.妊娠しました。出産にあたり気をつけることはありますか?
A.健康保険では「出産手当金」といって、出産のため働けない期間、賃金の6割り程度を給付する制度があります。これは退職後であっても支給されますから、忘れずに請求しましょう。ただし、給付を受けるには必要な要件を満たす必要があり、あまり早く会社を辞めると受けられないことがありますから注意! その他にもいろいろな制度があるので解説します。

出産については、法律による支援があります。従来は、深夜労働禁止などの保護規制が多かったために、積極的に働きたい女性の職業生活を男性よりも不利にしていました。しかし現在では男女平等を基本としながら、まだまだ改善点はあるものの、仕事と家庭の両立を支援するものとなっています。

しかし以下の点で、日本はまだまだ男女平等の点では後進国です。このあたりは社会一丸となって改善していく項目です。そのためには「女性だけが台所に立つCMを流さない」など、社会の根本意識から変える必要があるでしょう。

・産後の女性のケア ・男性の育児休暇の取得率
・家事を女性だけに任せない環境作り・意識づくり
・子供を預ける育児施設の数 ・子供を男女ともに働きながら育てる就業環境改善

産前産後休業の原則

出産前後の女性を従事させることは法律により禁止されている

さて、法律に話を戻しましょう。女性の出産にはさまざまな取扱のルールがありますが、基本的なルールに「産前産後休業」があります。

これは産前の42日間(多胎妊娠の場合は98日間)は本人が請求した場合、また産後56日間は本人の請求の有無に関わらず、会社が出産前後の女性を従事させることを禁じた法律です。

ただし、産後42日経過後は、本人が希望し、そして医師が認めた業務については従事してもらうことが可能です。

つまり、本人の希望がない限り、産前産後は、会社が無理に女性を働かせることは出来ないということです。

「産前産後休業」は、あくまで休業であり、出産する女性が会社を退職することを定めたものではありません。また、女性が出産することを理由とする解雇は許されません。

出産にあたり、各種給付内容を確認しよう

ここでは会社に在職し続ける場合の、健康保険などの給付内容を見てみましょう。

まず産前産後休業の間は、賃金が支払われない場合、健康保険による「出産手当金」を受け取ることができます。その後、子が1歳(一定の場合、1歳6ヶ月)になるまでは育児休業をとることができ、その間は、雇用保険から「育児休業給付」を受けることが出来ます。最近では男性の育児休暇の取得も義務化されてきました。

こうした出産を助ける法律がありますが、先にも述べたように法律を知らない人も多いようです。以下に詳しく解説していきますので参考にしてください。

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出産を助ける法律

妊産婦に無理をさせることを禁じた法律

有害業務の禁止
会社は、妊産婦(妊娠中および産後1年を経過しない女性)を、重い物をもたせたり、また有害ガスをするような場所へ行く業務に就かせてはなりません。
深夜などの制限
妊産婦が請求した場合には、会社は、時間外労働、深夜労働をさせてはなりません。
護指導・健康診査の時間など
産前産後の母子健康審査や医師の指導を受ける時間を確保することなどを会社に義務づけています。

出産支援を定めた法律

出産手当金
健康保険にて、出産のため働けない期間、賃金の6割り程度を給付する制度です。これは退職後であっても支給されますから、忘れずに請求しましょう。
ただし、給付を受けるには必要な要件を満たす必要があり、あまり早く会社を辞めると受けられないことがありますから注意しましょう。 下で詳しくまとめました
出産育児一時金
出産をしたとき、通常の療養の給付は支給されず、出産育児一時金という給付が支給されます。この出産育児一時金も、退職日までに継続して被保険者であった期間が1年以上あり、資格喪失後6ヶ月以内の出産であれば、退職後であっても支給されます。下で詳しくまとめました
育児休業給付
雇用保険から一定の要件に該当するときは、子が1歳(一定の場合1歳6ヶ月)になるまで、育児休業給付金が支給されます。下で詳しくまとめました
育児休業
産後、子が1歳(一定の場合は1年6ヶ月)になるまでの期間、一定の要件を満たす場合、育児休暇を取ることができます。その他にも、短時間勤務や子の看護休暇の制度などもあります。
※育児介護休業保護改正により、平成22年から夫婦で休業する一定の場合は、子が1歳2ヶ月になるまで育児休暇を取得できます。
健康保険料・厚生年金保険料の免除
育児休業期間中の健康保険料・厚生年金保険料は免除されます。

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出産手当金

出産手当金は、健康保険にて、出産のため働けない期間、賃金の6割り程度を給付する制度です。これは退職後であっても支給されますから、忘れずに請求しましょう。給付を受けるには必要な要件を満たす必要があり、あまり早く会社を辞めると受けられないことがありますから注意しましょう。詳しく解説します。

出産手当金が受けられる期間と額

出産手当金は、被保険者本人が、妊娠85日以上の出産のため会社を休み、その間の賃金の支払いがないときに支給されます。

受けられる期間は出産の日(予定日後の出産であるときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の日後56日目までの範囲内で、出産手当金の支給額は、退職前の標準報酬日額の3分の2に相当する額です。

在職中であれば、休んだ期間に会社から賃金を受けた場合に、その額が出産手当金の額より少ないときは差額分が支給され、多いときは全額支給されません。

産休に入る前にやめたら出産手当金はもらえない

以前は退職後6ヶ月以内の出産についても、この出産手当金が受給できましたが、平成19年この制度はなくなりました。

ただし、退職日までに引き続き1年以上健康保険に加入していて、産前休業に入ってから退職した場合は、退職後も出産手当金を受給できます。

例えば、出産予定日の42日前が10月3日とした場合、10月3日に退職すれば退職後の分まで出産手当金が貰えますが、10月2日に退職した場合には一切もらえないことになるので退職日については注意が必要です。なお、産業休業に入っていても、退職日に出勤すると出産手当金が受けられなくなるので、退職日は休んでいることが必要です。

出産手当金の受給要件と受給期間

出産手当金を受ける手続き

出産手当金を受けるときは「出産手当金支給申請書」に医師等の出産に関する証明を受け、必要事項を記入して、退職前の会社から申請してもらいます。
健康保険出産手当金申請書の書き方は、こちらが詳しかったのでどうぞ。→こちら

出産育児一時金

出産育児一時金は42万円

出産をしたとき、通常の療養の給付は支給されず、出産育児一時金という給付が支給されます。

これは出産が病気ではないため、療養の給付とは手続きが分かれているためです。

(僕は出産は病気ではないため、費用はすべて給付されるものと思っていましたが、一部払うこともあると聞いてびっくりしました)

出産育児一時金の対象となるのは妊娠85日以上の出産で、85日以上であれば死産や流産であっても支給されます。帝王切開などの異常出産の場合は療養の給付が行われ、同時に出産育児一時金も支給されます。

この出産育児一時金も、退職日までに継続して被保険者であった期間が1年以上あり、資格喪失後6ヶ月以内の出産であれば、退職後であっても支給されます

また、本人が在職中であれば被扶養者である妻や子供が出産したときにも家族出産育児一時金が支給されますが、退職後の家族出産育児一時金はありませんから、国民健康保険など退職後に加入した保険制度から受けることになります。

選択して受ける場合もある

健康保険から退職後の出産育児一時金を受けられるとき、退職後に加入した保険制度でも同様の給付が受けられる場合があります。

このようなときは、いずれか一方に請求することになりますが、協会けんぽの健康保険と国民健康保険(一部の市区町村では付加給付あり)では金額が同じで、1児について42万円(産科医療補償制度未加入の医療機関などでの出産は39万円)となっています。

ただし、在職中に組合管掌の健康保険に加入していたときは、健康保険組合の方が、手厚い給付をしている場合もありますから、支給額を確認して、有利な方へ請求しましょう。

医療機関などへの直接支払い

これまで出産育児一時金は、出産する被保険者から協会けんぽや健康保険組合などへ申請書を提出し、被保険者へ支給されていましたが、平成21年から被保険者が申請する面倒がなくなり、医療機関等へ直接支払われる「直接支払い制度」が始まりました。

被保険者は、窓口で実際の出産費用が出産育児一時金の額を超えた場合に、その差額分だけを支払えばおいこととなりました。なお、出産にかかった費用が出産育児一時金に満たなかった場合は、被保険者の請求におり差額分が支払われます。

ただし、法改正により小規模な医療機関の経営に師匠が出ることに配慮し、一部の医療機関では被保険者が事前に出産する医療機関を受取代理人と定め申請する「受取代理制度」もあります。

なお、従来のとおり被保険者があらかじめ出産費用を支払い、後日給付を請求する方法も残っています。

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育児休業給付金

育児休業給付金とは、雇用保険に入っている従業員が育児休業中に申請することでもらえる給付金のことです。

ポイントは、育休に入っていなければ支給されないという点です。

育児休業中は仕事が出来ず、そうなると会社も今までの給料を支払うわけにはいきません。そういった人に国がお金を給付し育児休業中の生活を困らないようにするためにある制度です。

出産手当金と似た制度ですが、産休中に貰えるものが「出産手当金」で、育休中に貰えるものが「育児休業給付金」です。

条件を満たせば、両方の制度を利用することが可能ですが、上記の条件の違いから、同時に二つをもらうことは出来ません

育児休業給付金をもらうには様々な条件や期間が定められており、全員が受給できるわけではありません。育児休業を取ろうとする人が周りにいるときはしっかりと制度を理解しアドバイスしてあげましょう。

育児休業給付金の受給資格

1.1歳未満の子供がいる

育児休業給付金が申請できるのが生まれてから1歳未満の子供がいる間だけです。支給期間を延長する場合には1歳6か月または2歳まで延長できることがあります。

2.雇用保険に加入しているか

雇用保険に加入していないと育児休業給付金は受け取れません。自営業の方はもらえないということになります。

3.育休前の2年間で、1ヶ月に11日以上働いた月が12カ月以上ある

正社員で働いている人ならこの条件は満たしていると思います。気を付けなければいけないのはパートで働いている人、契約社員で働いている人です。契約内容をよく確認して会社に申請をしなければいけません。子供ができてから条件を満たそうとしてもかなり難しいと思われます。

4.育児休業期間中の各1ヶ月ごとに、休業開始前の1ヶ月の賃金の8割以上が支払われていないこと

簡単に計算して説明すると、毎月20万円もらっていた人が育児休業中に毎月16万円以上の賃金をもらっていると給付金を受けられないということです。

5.育児休業期間中に就業している日数が各1ヶ月に10日以下であること

育休中は1ヶ月に10日以上働いてはいけないということです。

育児休業給付金の支給額

育児休業給付金はもらえる金額が定められています。また受け取れる期間は2ヶ月ごとと決まっています。自分で申請を出す場合は1ヶ月毎でも大丈夫です。

子供が生まれて8週間は育児休業期間に含まれませんので、生まれて1~2ヶ月後に手続きをし、その後2ヶ月ごとに育児休業給付金を受け取れるので最低3か月ほどは受け取れないということを把握しておいたほうがいいでしょう。

支給額の計算方法
1ヶ月あたりに受け取れる支給額の計算は

労働者の育児休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)の67%
 (子供が生まれて6ヶ月経過後は50%)

となります。

申請の流れ
1.受給予定の労働者が会社に育児休業の申し出
2.会社が管轄のハローワークに書類申請
3.育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書を労働者が記入、母子健康手帳、受取口座の通帳の写しを合わせて会社に提出
4.育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書・休業開始時賃金月額証明書と添付書類として賃金台帳または出勤簿、母子健康・受取口座の通帳の写しをすべて、管轄のハローワークに提出

これが初回申請時の流れとなります。
これ以降2カ月に1回、申請書を提出し育児休業給付金を受け取る流れになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。出産は人生の一大イベントです。自分で申請しなければ受け取れないお金もありますので、申請するようにしましょう。

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